明神講
1年間の息災を氏神に感謝する祭事。地域の組内単位で行う年間の恒例行事になります。元々、12月1日に行うようになっていますが、現在では各組それぞれ異なり、行事を止めてしまった組もあります。1組は12月1日にいまでも行っており、2組は12月第一日曜日に行うようになりました。組によってその家の当主のみ参加や、夫婦で参加など様々になっていますが元々は当主のみ参加だったと思われます。
はじまりは相当に古く、いつのはじまりかの記録は残念ながらありません。明治初期にはすでに組内廻り順で明神講宿を受けていたようです。終戦までは海魚料理が主だったもので、ブリや山菜料理やお酒で楽しく1日を飲んで過ごしていました。最後に次の当番宿へ明神箱(おとぼんさん)を引き継ぎいて、先に次の宿の当主が帰ってから解散となりました。
こういった講の集まり、飲んで食べて過ごす集まりは、あまり贅沢が出来なかった昔の楽しみへの口実でもあったようです。
現在の明神講の流れ
午前十時頃に宿の家に集まり、まずはお茶(こぶ茶)をいただきながら雑談となります。この際、基本的に正装を着て行きます。皆で般若心経を一回唱えた後、宿主から榊の葉で数粒のお米をいただき、ありがたくその場で口に含みいただきます。その後宿主から言葉。「今年も家族皆息災に過ごすことができ、無事おとぼんさんを預かることが出来ました。これも組内の皆様のお力添えあってのことで、深く感謝いたします。」など挨拶をします。お酒を次の宿主と交わして、おとぼんさん(明神箱)を引き継ぎます。おとぼんさんとは、祭事の書き付けの入った箱の事を主にいうようで、なぜおとぼんさんと言うのか誰も知りません。引き継いだ次の宿主は、「おとぼんさんを受けたまわりました。家族共々息災にすごせますよう、日々精進して参ります」などと決意を述べます。
引き継ぎの後、皆で歩いてお宮さん(梅田神社)にお詣りをします。記念撮影を行い、再度宿に戻ります。お菓子やお茶(茶葉)をいただき、手配していただいた食事をいただきます。食事は主にお迎えのある食事処で座敷などを予約して懐石などをいただきます。お店を出る際には宿の負担を減らすため、食事飲み物の費用を割り勘にして支払います。店から宿に戻ると解散となります。