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鬼は内、福は外の節分祭り
大原神社の節分追儺式
2月3日の午後7時。追儺式が行われます。皆で本殿の中に入り、ご祈祷を行います。宮司により桃の木の弓と矢で清められます。桃の木を使うのは、桃が昔から力のある木とされてきたからだという話です。桃太郎などの昔話などでうかがえます。
節分の豆撒き
大原神社の豆まきのかけ声は「鬼は内、福は外」と通常の掛け声とは正反対です。これは昔、この大原の地が綾部九鬼藩だったことへの配慮とも言われていますが、神社の境内の中で行われているからという話もあります。
かけ声に従って、鬼が出てくると煎った豆をみんなで鬼に向けて投げて、神社本殿へと追い払います。その後、鬼は本殿で清められて福になって出てくるというストーリーになっています。節分祭に集まる皆の最大の楽しみはなんと言っても福になった鬼が撒いてくれる福豆になります。福豆撒きは、豆はもちろん、小さな袋に詰められたお菓子も撒かれ、それを皆で取り合います。
撒かれたお菓子の袋の中に大福などの福を書いた紙が入っていて、それを社務所に持って行くと景品と引き換えてくれます。
甘酒の接待
大原神社の節分祭に行くと、甘酒をいただけます。お米から酒や甘酒が出来るのは、昔の人にとって大変不思議なことに思えました。これはきっと神様の力だと昔の人は考えました。大原神社と甘酒の歴史は古く、鎌倉時代の「社家記」や江戸時代の「俳諧歳時記」に、祭礼の際には甘酒を造り神様に供え、来客を甘酒でもてなしていたとあります。大原神社の祭礼は別名「甘酒祭」と言われるほど有名だったようです。
民話「鬼といり豆」
節分でなぜ豆まきを行うのか。なぜ鬼が出てくるのか。鬼とおふくの関係は。それは民話「鬼といり豆」と関係があります。
簡単に紹介。昔むかしある年のこと、たいへんな日照りが続き稲が枯れはじめてしまいました。困り果てたある百姓が「誰でも良いから、雨を降らせてくれれば、一人娘のおふくを嫁にやるがなぁ』とつぶやきました。すると鬼が現れ、「お前が今言ったことは本当か?」と尋ねました。百姓は、村中の田んぼが豊作になるように雨を降らせてくれたらと約束しました。
しばらくすると、雷が鳴り雨が降りました。三日晴れ、一日雨が降る日が続きました。秋になり田んぼの稲は豊作となりました。すると百姓の前に鬼が再び現れて「約束どおり、雨を降らせた。稲は豊作になった。おふくを嫁にくれ」と言いました。鬼のおかげで雨が降り、稲が枯れることがなく豊作となったので、おふくは鬼の嫁に行くことになりました。
おふくが嫁に行く日、母親は菜の花の種をおふくに持たせて、鬼のところに行く道すがら、種を蒔くように言いました。おふくは母親の言いつけどおり種を蒔きながら、一人山深い鬼のところへ嫁いでいきました。
やがて冬になり雪が積もり、その雪も溶け、春がきました。おふくが外に出ると菜の花が列をなして美しく咲いていました。おふくが母に言いつけられて蒔いた菜の花でした。おふくは母が恋しくなり、菜の花の列を頼りに家に逃げ帰りました。
おふくを追ってきた鬼は、おふくの家の前で「おふくを返せ!』とわめきました。母親は煎った豆を戸のすきまから投げて、この豆を植えて花を咲かせて持ってくれば、おふくをお前にやろうと言いました。鬼は豆を育てようとしますが、一向に芽が出ません。そのうちに鬼はあきらめて来なくなってしまいました。これが節分豆撒きの始まりだという話です。